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2024.10.29
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公益財団法人小野木科学技術振興財団より令和6年度優秀賞を受賞「モルタル、及びコンクリート材料中のクレイ微粒子検出方法(特許第 7466825 号 )」
株式会社安部日鋼工業(代表取締役社長執行役員:井手口哲朗、以下、「安部日鋼工業」)と国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学(学長:吉田和弘)の共同研究成果に関連する特許「モルタル、及びコンクリート材料中のクレイ微粒子検出方法」(特許第7466825号)が査定登録され、さらに本特許が、公益財団法人小野木科学技術振興財団より令和6年度の優秀賞を受賞いたしました(写真-1)。
写真-1 小野木科学技術振興財団 受賞盾(左)と授賞式(右)
1.クレイ水分散液を用いた物理ゲルの特徴
クレイ水分散液を用いた物理ゲルは、粘土鉱物であるクレイナノシート(合成ヘクトライト、合成スティーブンサイト、合成サポナイト及びこれらの変性品で、一枚のシートの大きさは40~50nm程度(厚みは1nm程度)のナノシート)を水などと練り混ぜたものです。 クレイナノシートを含む物理ゲル(写真-2は一例)を振動させると、ネットワークを形成していたナノシートがバラバラになり、流動性が高くなります。また、振動を止める(静置する)と、再びネットワークを形成し、ゲル化します(図-1)。
写真-2 物理ゲル
図-1 物理ゲルの模式図
写真 -3 物理ゲルの性能を付与したフレッシュコンクリートの流動性の変化
●生産性の向上
フレッシュコンクリートのレオロジー特性を自在にコントロールでき、流動性が高いコンクリートを実現できるため、コンクリートの締固め作業が効率よく行えるなど建設工事の生産性の向上に貢献します。
● 耐久性の向上
物理ゲル化により、コンクリートの材料分離が抑制されます。 硬化した際の透気性も抑制され、耐久性が向上します。
● コストの削減
クレイナノシートは入手しやすい無機系材料であり、添加量が少量で投入作業も簡単なため、特別な安全対策や大掛かりな設備投資は不要です。生産性の向上による技能労働者数の削減と併せてコンクリート工事の生産コストを削減できます。
2.クレイ微粒子の検出方法について
共同研究開発者はクレイ微粒子の液体中での動きを独創的に解析し、クレイ微粒子の添加量とモルタル層の液面高さおよびその時間的変化との定量的な相関関係を解明しました。
具体的には、クレイ微粒子を含むモルタルを水と混合して振盪した後、約40分間静置した結果を基に、モルタル層の液面高さがどのように変化するかを測定しました(写真-4、図-2)。研究結果から、クレイ微粒子の添加量が多いほど、液面高さが高く維持されることが確認されました。このように、検出対象の液体にクレイ微粒子が含まれているか否かを、液面高さの測定で判断できる可能性が示されました。
これにより、クレイ水分散液を用いた物理ゲルをより精度高く検出する技術の開発の道が開け、今後の建設材料をはじめとした多様な応用への展開が期待されます。
写真-4 試験状況
図-2 モルタルの液面高さ・経過時間
3.本件に関する問い合わせ先
開発担当 : 株式会社安部日鋼工業 技術工務本部技術開発部
住 所 : 〒500-8638 岐阜県岐阜市六条大溝3丁目13番3号
T E L : 058-271-3391(代表)
E-mail : info-hp@abe-nikko.co.jp